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【実践編第1回】理想のインスタ運用を目指してアカウント設計してみたが…?

こんにちは。「田舎で生き残る!小規模事業者のためのお金をかけないWEBマーケティング入門」管理人の82chisaです。

このブログでは、田舎の小規模事業者さんがお金をかけずにマーケティングを始めるための情報をお伝えするとともに、実際に私が、小規模事業者さんの実践をサポートする過程をレポートしていきます。

記事や本を読んでお勉強しただけでは机上の空論かも。
これ実践したら、ちゃんと成果が出せるの?

そんな疑問に読者のみなさんと一緒に向き合うべく、知人の新規事業のインスタグラム運用をお手伝いさせていただくことにしました!
実際に私たちが試したり、悩んだりしながら成長していく姿をご覧いただき、WEBマーケティングを取り入れて売上アップを目指す田舎の小規模事業者のみなさんにお役立ていただければと思います!

今回は【実践編1回目】。
「ナルミ・キッチン ラボ」を始めるに至ったナルミさんの想いをたっぷり聴いた後、私たちは「理想のインスタ」構築を目指して、アカウントの設計に取りかかりましたが…

小さなお店の「理想のインスタ」って?

難病の夫と2人の子どもたちを支えるため、新しいお店を作ることにしたナルミさん。
これまでのお店でもインスタグラムはやっていましたが、「なんとなくやっている」だけでした。
新しいお店では、もっと確実に売上げを上げられるようにしたいので、インスタにもマーケティングの視点を取り入れ、より多くのお客さまに見てもらえるように最初の設計から取り組みます。

目指すは小さなお店の理想のインスタ運用。

でも「理想のインスタ」ってなんでしょう?
まずは、「小さなお店の理想のインスタとは何か」を定義することから始めたいと思います。

理想のインスタ 条件① 数字が達成できる

まず一つ目の条件は、

数字=売上が伸びる

やるからには、ここを目指します。
ですが、インスタ=お店ではないので、インスタで達成すべき数字は何かを、見極めて設定していきます。

まずはわかりやすいところでフォロワー数の目標値を決めますが、そこから来店につながっているか、見込み客になっているか、口コミをしてもらえているかなども、運用しながら見ていくことにします。

ナルミさんの場合、新店舗「ナルミ・キッチン ラボ」の売上目標は300万円/月です。
この売上を作るためにインスタグラムのフォロワー数や「いいね」の数がどれくらいあればいいのか、仮説と検証を繰り返しながら進めていきます。

理想のインスタ 条件② お店の価値を伝えられている

数字の達成は最も大切ですが、インスタグラムは今や「お店の顔」となるメディアです。

お店の情報や商品について伝えるだけでなく、「ナルミ・キッチン ラボ」の世界観や目指しているもの、提供する価値が体現できており、それがお客様のニーズとつながっている状態が「理想のインスタ」と言えます。

発信する内容やデザイン、写真の撮り方に至るまで、丁寧に設計していきます。

理想のインスタ 条件③ 安定して運用できる

SNSでのマーケティングは、継続してこそ成果につながります。
最初は理想を思い描いて運用を始めても、継続できずにほったらかしになってしまったり、ネタ不足で無理やり投稿していたりという状態になると、当然、アカウントの魅力は落ちるし、数字も出ないし、でも投稿しなくてはいけないし…の悪循環になってしまいます。

せっかく作って、日々更新していくインスタグラムですから、お店にとって利益をもたらす欠かせない存在として育てていかねばなりません。そのためには、継続的に発信を続けていくための体制づくりも合わせて考えていきます。

理想のインスタには「アカウント設計」が必須!

では、これらを叶えるインスタグラムにするために、どうすればいいのか。

最も重要なのは「アカウント設計」です。

基礎がしっかりしていないと、その上に柱や壁を建ててもグラグラしてしまうので、上に乗っていくものをがっちり支えられる基礎を作るのが「アカウント設計」です。

最初の設計が大切なのは、他のメディアを使ったり広告をする時も同じなのですが、特にインスタグラムの場合、ポテンシャルを最大限活かすためにもこの「アカウント設計」が効いてきます。

かつてはインスタの機能はそんなに複雑ではなかったのですが、今のインスタは、

フィード、リール、ストーリーズ、ハイライト、LIVE…

投稿の種類だけでもこれだけあり、さらにそれぞれ、動画でも投稿できたり画像でも投稿できたり、キャプションをつけられたり、他のユーザーにメンションできたり…
本当にたくさんの機能があります

全部を理解して使っているという方は少ないと思いますし、仮に使い方は知っていたとしても、機能や特徴を理解し、どれにどんな目的でどんな投稿をするのかまで考えている人はかなり少ないと思います。

これらを目的に応じて使いこなし、インスタの効果を最大化するためにも、アカウント設計で土台をしっかりして築いておく必要があります。

では、アカウント設計で決めるべきことはなんでしょうか?

アカウント設計で決めるべきこと

アカウント設計で決めるべきことは

  1. アカウントのゴール
  2. ターゲット・ペルソナ
  3. アカウントの強み・ポジション

です。

それぞれ解説していきます。

アカウントのゴール

「アカウントのゴール」とは、「どうなればこのアカウントは成功か」です。
これを言葉にしておきます。アカウントを運用する目的と言い換えることもできます。
言葉にする際に、数値の目標も決めることが重要です。

「いつまでに」「何の数字を」「どれくらいにするのか」

これを決めましょう。
どれくらいが正解かわからないと思っても、まずいったん何らかの根拠を探し出して数字を決め、検証を繰り返すことが大切です。

ターゲットとペルソナ

「ターゲット」とは、年齢や性別、住んでいる場所、所得レベルなどの共通した属性で分けられる、商品やサービスを買ってくれそうな人たちのグループです。あなたの商品やサービスが戦う市場であるとも言えます。

「ペルソナ」は、ターゲットの中の具体的な架空の個人で、商品やサービスの「理想のお客様」です。多数の人に向けたメッセージよりもある特定の1人に向けたメッセージの方が人の心に刺さるものになるため、マーケティングをする時にはペルソナを設定します。

ペルソナは、何を考えて生活していて、1日をどう過ごしているかまで、細かく設定します。

アカウントの強み・ポジション

次に「アカウントの強み・ポジション」です。

例えばラーメン屋さんのアカウントを見る時に、「醤油ラーメンも味噌ラーメンも塩ラーメンも豚骨ラーメンも全部美味しいです」と言われたら、お店の特徴がわからず、「本当に美味しいのかな?」と思ってしまいますよね。

「うちのお店は本場の博多で修行してきた店主がこだわって作る豚骨ラーメンです」

と言われた方が、お店の魅力がはっきりします。

このように、同業者や競合の中での自分の強み、ポジションをしっかり決めることで、魅力的なお店、アカウントにしていくことができます。

実際に「アカウント設計」をしてみた

ここから、ここまでの話を実際に実践していきます。

ナルミさんに上記の内容を説明し、私たちは実際に「ナルミ・キッチン ラボ」のアカウントの設計を始めました。

競合をリサーチして目標を設定

まず「ナルミ・キッチン ラボ」アカウントのゴールは、開店から1年で5000フォロワーの獲得としました。
中間目標として、開店から6ヶ月で3000フォロワーを目指します。

この数字にした理由は以下の通りです。

・もともとナルミさんが経営しているカフェレストランの「ナルミ・キッチン」は、10年以上の営業の成果ですでに1700フォロワーいるため、もともとのファンの流入を期待しつつ、新店舗ではこの数字を超えたい。
・競合と考えられるアカウントをリサーチした結果、仙台市内のお店では、3店舗を経営しスイーツ店として不動の地位を築いているカズノリイケダのアカウントが21000フォロワー、5店舗を経営するカフェのHONOKA COFFEEが12000フォロワー。
・一方、「ナルミ・キッチン」「ナルミ・キッチン ラボ」がある柴田町とその周辺地区のカフェでは、同じ柴田町のフリゴレス(仙台近郊にも3店舗展開)が4300フォロワーでトップ。

これらを考慮し、柴田町のみに店舗を構える「ナルミ・キッチン ラボ」のフォロワーの目標を5000と置くことにしました。フォロワー数の伸びと売上がどう関係していくかについても、確認しながら進めていきます。

商品を買ってくれる「ターゲット」と「ペルソナ」を考える

次は「ターゲット」と「ペルソナ」です。

新店舗「ナルミ・キッチン ラボ」で売る商品は「手みやげ」です。
「宮城県の定番のお土産品はいろいろあるけれど、それらはどれもイマイチ魅力的ではない」という人に新しい選択肢を用意してあげるのが、このお店を始める意義だとナルミさんは考えていました。

こうした商品の内容と、300万円/月の売上目標を考えると、人口4万人弱の柴田町の人たちだけではなく、周辺地域、さらには大きな商圏である仙台市とその近郊の人たちをターゲットにする必要がある。そんな話をナルミさんとして、下記のようなペルソナを設定しました。

40歳代
女性
会社員
年収400万円
子供;小4女子・小6女子、夫;5歳年上(4人家族)
仙台市郊外在住・仙台勤務
家族で週末ドライブするのが好き
Instagramをやっている(自分のアカウントで発信している)
一戸建てに住んでいる
健康志向で、美味しく体にいいものは遠くにでも買いに行く
雑貨を作るのが好きで、オシャレなマルシェなどに足を運ぶのが好き。いずれは自分の作品を売りたい
いいモノを見つけたら、友達にプレゼントしたくなる
家族が仲良しで、夫婦仲もいい
大学を卒業してから同じ建設会社の経理事務をし続けており、ワークライフバランスがいい
自分の趣味で作った作品を売ったり、投資の利益で月の収入を増やし、年一回家族で海外旅行に行く

仙台近郊で子育てしながら夫婦共働きをし、忙しいながらも暮らしを楽しむ余裕もある40代の女性。

こういう人なら、柴田町で少し珍しくておしゃれなお土産を、週末のドライブがてら買いに来てくれるのではないか。

私たちは2時間ほどかけて話し合い、このペルソナの特徴を作り上げました。

ターゲットの悩みを深掘りする

それからさらに、この「ペルソナ」の「悩み」を深掘りしていきます。
人が何か行動したり購入したりするのは、大小に関わらず抱えている問題や悩みを解決するためなので、ペルソナがどんな悩みを持っているのかを細かく想像していくことで、お客さま一人一人に刺さるメッセージを届けるのです。

目標はペルソナの悩みを100個出すこと。

なかなか大変な作業ですが、ここは経営者であるナルミさんに、ペルソナのイメージをしっかり持ってもらうことが大切と考え、開店準備の合間を縫って取り組んでもらいました。

ナルミさんはこのお店に本気なので、すごく真剣に取り組んで、悩みを100個書き出してくれました。

やったー!!

思ったのですが!

ここで問題発生!

ナルミさんはとても頑張って100個の悩みを書き出してくれました。それだけでも、本当に素晴らしいことです。ところが内容を見てみると、設定した「ペルソナ」の悩みとしてしっくりこない内容になってしまっていました。
並んだ「100個の悩み」にはけっこう深刻なものが多く、上記のような、仕事もプライベートも順調な女性のイメージとは離れたものになってしまっていたのです。

ここで私も反省。「悩みを100個出す」ということのインパクトが強すぎて、とにかく100個出すことが目的になってしまったように思われました。そこで、改めてペルソナに焦点を当てて悩みに修正していこうとしたのですが…ナルミさんの口からショッキングな発言が飛び出します。

この人は私のペルソナじゃない。

な、なんだって?!

2時間かけてペルソナを設定した時、決して私が勝手に決めたのではなく、話しながら納得して決めたはずでした。それなのに「ペルソナじゃない」って、なぜ…?

作戦変更!次なる手は…?

いきなりつまづいてしまったアカウント設計。
原因は、ペルソナと、商品と、ナルミさんが提供しようとしている価値とが一直線につながっていないことにありました。

なんとなくできているようでいて、何かが決定的にズレている。

これを理屈で考えても迷宮入りしそうだったのですが、同時に進めていた競合アカウントのリサーチで、気づいたことがありました。

伸びているアカウントはコンセプトが明確

だということです。

先述のカズノリイケダ(2万1000フォロワー)のコンセプトは「情熱!斬新!驚き!」
本場パリ仕込みのパティシエが作る、味も見た目もアイディアも日本の常識を超えたお菓子を提供するのがカズノリイケダで、カラフルでポップで目を引くようなスイーツの写真が並んでいます。

HONOKA COFFEE(1万2000フォロワー) のコンセプトは「旅するような新しい日常」
看板商品のスコーンや店内で食べられるフードの写真もありますが、店内やお店周辺の日常のシーンを切り取った写真も多くあり、スタッフさんが出演してキャンペーンの案内をする動画など、HONOKA COFFEEを訪れるとどんな時間を過ごせるのかがイメージしやすい投稿が並んでおり、インスタ以外のメディアで読み物を提供していたり、Podcastも始めていました。

お店自体のコンセプトを、もっときちんと言葉にするべきなのかも。

そうすると、自ずとどんな人がお客さまなのかも見えてくるような気がしました。

ナルミさんにこれらを伝えると

うん、これなら考えられそう!

という反応。

いったん、ペルソナは置いておいて、私たちは「ナルミ・キッチン ラボ」のコンセプト・フレーズを探すことにしました。

次回は、コンセプトワードの発見について、レポートします。
実際、これが決まったことによって、アカウント設計は加速的に進み始めたのです!