実践レポート

【実践編第0回】大切な人を守るため、新規事業のSNSマーケティングにチャレンジ!

こんにちは。「田舎で生き残る!小規模事業者のためのお金をかけないWEBマーケティング入門」管理人の82chisaです。

このブログでは、田舎の小規模事業者さんがお金をかけずにマーケティングを始めるための情報をお伝えするとともに、実際に私が、小規模事業者さんの実践をサポートする過程をレポートしていきます。

記事や本を読んでお勉強しただけでは机上の空論かも。
これ実践したら、ちゃんと成果が出せるの?

そんな疑問に読者のみなさんと一緒に向き合うべく、知人の新規事業のインスタグラム運用をお手伝いさせていただくことにしました!
実際に私たちが試したり、悩んだりしながら成長していく姿をご覧いただき、WEBマーケティングを取り入れて売上アップを目指す田舎の小規模事業者のみなさんにお役立ていただければと思います!

今回は【実践編0回目】として、私がサポートするナルミさんと、ナルミさんが新しく始める「ナルミ・キッチン ラボ」についてご紹介します。

実家の土地を譲り受けてお店を始めた

事業オーナーのナルミさんは、宮城県柴田町のご出身。
柴田町は人口4万人弱、100万都市・仙台からJR線で30分程度の町です。
東北の中では温暖で雪も少なく、町内を横断する白石川の「一目千本桜」が有名で、桜の時期には多くの人が訪れます。

ナルミさんは高校生まで、この柴田町で育ちました。
実家は大きな農家で、子どもの頃、14歳年下に弟さんが生まれるまでの間は、ナルミさんは自分が農家を継ぐつもりだったそうです。弟さんの誕生で後継ぎにはならなくてよくなりましたが、小さい頃から両親を手伝い、その苦労も見てきたナルミさんは、「きちんとお金を稼いで家族を支えられる人になりたい」という志をずっと持っていたそうです。
高校を卒業後、他県の大学に進学し、資格を取って仙台で働くようになったナルミさんは、やがて素敵なご主人と巡り合い、2人のかわいい娘さんにも恵まれました。

そんな頃、柴田町の実家から「土地をあげるから家を建てたら」と言われ、故郷の柴田町にマイホームを建て、家の隣に小さなお店を作ってカフェレストラン「ナルミ・キッチン」を始めることにしました。ご主人は柴田町から仙台の職場に通い続ける計画でした。

大切な家族を守るために売上を上げたい

ところが、お店を出すと決めた頃、ご主人が難病を患っていることが発覚します。
進行が遅い病気で、すぐに何かに困ることはなかったため、初めはあまり深刻に考えていなかったというナルミさん。しかし、やがて、それまでご主人が勤めていた仙台の会社を辞めざるを得なくなり、一家の収入の全てを「ナルミ・キッチン」で賄わなくてはならなくなりました。

ナルミさんは弾けるような笑顔がトレードマークで、「自分の力で周囲を笑顔にしたい」と考える前向きな女性です。「それなら、私が家計を支えなくては」と、カフェレストランのお仕事に奮闘していきます。
持ち前の明るさと人を思いやる気持ち、新しいことにチャレンジするパワフルさ。そんな彼女の人柄と、心やすらぐ美味しいお料理に惹かれ、お店にはナルミさんのファンが集まるようになりました。さらに、ナルミさんご自身も柴田町に暮らす中で、身の周りの人たちが抱える困りごとにも敏感に反応し、小さな子どものお母さんが集まる会を閉店後に開催したり、地域のイベントに積極的に参加したり、さらに自ら企画者になって盛り上げたり、「自分にできることはやってみる!」の精神で10年以上頑張ってきました。そんなナルミさんを、周囲の人たちは頼りにしています。

でも…

・お店の面積が小さい
・駅から歩くには遠い
・気軽に来てもらえるお店にしたいので価格は上げづらい
・小さい子どもの育児をしながらお店を回すのに精一杯で、業務改善ができない
・町の人口が少ない
・飲食店という業態の限界

などの条件下で、お店の売上は思ったような数字には届かない現状が続いていました。
そこへさらに、新型コロナウィルスによる売上減が重なり、大ピンチ…。
ご主人は、病気の進行や手術の後遺症に悩まされつつも、今はお店を手伝ってくれていますが、いずれはそれもできなくなるかもしれない。子どもたちが大きくなるにつれ、教育費も心配です…

私がなんとかしなくては

小さかった2人の娘さんも、今は高校生と中学生になりました。
そんな時に知った、中小企業のための「事業再構築補助金」。

これだ!

とナルミさんは思いました。

この補助金を活用して、飲食店より長く、多く売ることができる「手土産品」を作って売るお店を作り、家族を安心して支えられるだけの売上を上げよう。
そう考えて「ナルミ・キッチン ラボ」というお店を新たに始めることにしました。

「無いなら作る」の精神で

ナルミさんが柴田町で暮らし、地域の事業者としてお店をやりながらずっともどかしく思ってきたこと。それは「名物が無い」ということでした。

最初にご紹介したように、柴田町には「一目千本桜」と呼ばれる見事な桜並木があり、全国の「さくら名所100選」に選ばれています。さらに、隣接した「船岡城址公園」も同じく100選に選ばれていて、小さな町内に2箇所も全国区の桜の名所があるので、この時期の人出は大変なものです。
それなのに、せっかくお花見で訪れた人たちが「柴田町の名物」として買えるものが無い。そこに気づいたナルミさんはある年、桜あんを使った「さくらどーなっつ」を作って、桜並木のある土手で売ってみたそうです。
結果は、一瞬で完売。
ナルミさんは、そこにビジネスチャンスがあることを強く感じました。

また、ナルミさんのご主人の実家は札幌です。
実家のご両親はグルメで、帰省するたびに札幌の美味しいものやおしゃれな特産品をたくさん紹介してくれるのですが、一方の自分たちは「ぜんぜん持って行けるものが無い」と感じていました。仙台の有名なお土産はいくつかありますが、ワンパターンだし、「この土地のもの」として札幌の人に胸を張って紹介できるかというと、微妙。
札幌に帰省するたびに「こちらからも紹介できるものがあったらなあ」と思っていたそうです。

一方でナルミさんは、柴田町にはいいものがたくさんあることも知っています。
実家が大きな農家であること、10年以上柴田町でお店をやってきたこと、その過程で仲間をたくさん作ってきたことから、「柴田のおみやげ」となるもののタネや、タネを持っている人の顔が、ナルミさんにはたくさん思い浮かびます。

ただそれが、「買える形」「持ち運べる形」になっていない。
だから、買えない。知ってもらえない。

だったら、自分がそのタネを「買える形」にしよう。
「持ち運べる形」にして、いろいろな人に楽しんでもらおう。

こうして、「ナルミ・キッチン ラボ ーしばたのみやげ研究所ー」は作られました。

まずはSNSからWEBマーケティングにチャレンジ

走り出した新規事業。
補助金の申請書の作成や菓子製造業の資格取得、お店の設計などなど、ナルミさんはレストランも引き続き経営しながら、忙しい合間を縫って準備を進め、とうとうお店の工事が始まりました。新しい店舗のスタッフも決まり、ホームページを作ってくれる人も目星をつけ、インスタグラムのアカウントをこれまでのお店と分けて開設し、工事の様子を投稿し始めました。

…ただ、「マーケティング」については、あまりきちんと考えていませんでした。
どこかでなんとなく、やらなければいけないとわかっていても、教えてくれる人もおらず、プロに任せるだけの余裕資金も無く、自分が感覚的に「これはやらなくちゃいけないだろう」と思うものをやっているだけでした。

そこで、今回のチャレンジが始まります。

ナルミさんのお店には以前からお世話になっていて、ちょうどこの頃に別件で取材にも訪れていた私は、新規事業のことを知り、「自分も勉強しながらではあるけれど、インスタグラムでのマーケティングをお手伝いさせてもらえませんか」とお願いしました。

「地域でこれからも楽しく暮らしていきたい。」
「そのためにちゃんと稼いで周りの人を幸せにしたい。」

こうした思いで共感した私たちは、ひとまずお店の開店前2ヶ月+開店後6ヶ月の計8ヶ月間、WEBマーケティングの視点を取り入れたインスタグラムのアカウント設計と運用に、一緒に挑戦することになりました。

ナルミさんのチャレンジを、心から応援しているから。
ナルミさんのような人は、地域の宝だから。
ナルミさんのような人にこそ、成功してほしいから。
そうでなければ「田舎の豊かな暮らし」が消えてしまうかもしれないから。

これは、これからも自分が暮らす地域と身近な人の笑顔を守りたいと願う、私とナルミさんの挑戦の物語です。
次回から、具体的にやったことをレポートしていきます。